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睡眠と心の健康

土屋 智(土屋医院・睡眠外来)

1) 睡眠とは?
 睡眠の主な役割は「エネルギー保存」だと言われています。ただし、「長時間眠れば良い。」というわけではありません。体質的に『短時間睡眠者』(ナポレオンは3時間?)や『長時間睡眠者』(アインシュタインは12時間?)という専門用語もあります。一般に言われている「8時間睡眠」にこだわる必要はありません。時間(量)よりも質の良い睡眠をとることが重要です。
 右図にもありますが、睡眠には レム(REM)睡眠ノンレム睡眠 (睡眠段階1→4、特に3と4が深い眠り)があり、それぞれが交互に出現します。私達人間も動物の仲間です。ほんの150年位前まで一般人は、簡素な家屋と暗闇の中で寝ていました。当然、周囲には熊や狼がウロウロしていたわけで、いつ襲われるかわからない状況です。ですから、脳と身体を別々に休めて緊急事態に備える必要がありました。
 レム睡眠は、夢見の眠りです。脳は覚醒に近いのですが、身体はゆっくり休んでいます。よく「夢ばかり見て眠れない。」と言われる方がおられますが、身体の休息には重要な眠りです。 一方、ノンレム睡眠は、脳がゆっくり休んでいますが身体は動かせることができます。眠っているのに、蚊がとまったらパチン!と叩くことも可能です。
 脳と身体は交代で眠っているのです!
2) 年齢と睡眠
 子供は、睡眠時間も長く、深い睡眠も多く出現します。「寝る子は育つ。」という言い伝えはほぼ正解です。成人になると睡眠の時間も質もほぼ横ばいとなります。しかし、右図に示しますように60〜70歳を境に睡眠の時間も質も急に低下してしまいます。睡眠はエネルギーを貯めるための時間ですから、身体の新陳代謝が落ちるとあまり必要ではなくなるわけです。
 ところが、いくら身体が年をとっても気持ちは働き盛りのままですから、熟眠感が無くなってくると「不眠症になったのでは?」と心配になってしまう場合も多くあります。
3) 睡眠障害とは?
 睡眠障害には「不眠症」だけではなく、「昼間にやたらと眠い。」(過眠症)、「夢遊病みたい。」(睡眠時随伴症)、「昼と夜が逆になる。」(リズム障害)など様々な状態があります。
 【表】にもありますが、睡眠障害の原因の過半数は心理的ストレスが関与していますが、睡眠の病気による場合もありますので注意が必要です。
 ストレスや神経症、うつ病に伴う不眠症以外の睡眠障害の原因をつかむためには、「睡眠検査」も必要となります。「ただの不眠症」と決め付けてしまう前に、御自分の睡眠状況を把握して医師に相談しましょう。
4) 不眠症の影響
 夜に質の高い睡眠が取れないと、血圧が上昇したり、日中の集中力が低下したりします。運転中や作業中の眠気から事故をまねくこともあります。最近では、国家的事業の失敗原因としても、睡眠障害は注目されています。


5) ストレス以外の睡眠障害で注意する病気
 『睡眠時無呼吸症候群』は、【表】でも睡眠障害の4分の1を占めます。文字通り、睡眠中に呼吸が一過性に停止し睡眠の連続性を妨げる病気です。一番の特徴はひどいイビキを伴うことです。不眠や過眠(運転中・会議中の居眠りなど)、朝の頭痛や倦怠感などから日中の集中力低下をきたすこともあります。さらには、低酸素状態によって心臓や脳の血管にも悪影響を及ぼす重大な病気です。
 高齢者の不眠症に比較的多く、手足の瞬間的な筋肉のピクツキによって睡眠の連続性が妨害される『睡眠時ミオクローヌス症候群』も重要です。この筋肉のピクツキは、不眠が無くても50歳以上では約50%に認められるほどで、無視できない病気です。
 交代勤務による睡眠障害の場合には、生活リズムの作り方が重要です。
久留米大学睡眠障害クリニックにおける
全新患患者の診断別統計(1981年〜2000年)を一部改編
  男性
(%)
女性
(%)
1.ストレス性不眠 27.8% 42.7 57.3
2.睡眠時無呼吸症候群 25.4% 86.0 14.0
3.神経症に伴う不眠 10.8% 44.5 55.5
4.うつ病に伴う不眠 9.8% 43.8 56.3
5.睡眠リズム障害 6.3% 65.5 34.5
6.ナルコプレシー 2.6% 75.0 25.0
7.特発性過眠症 2.1% 59.1 40.9
8.周期性四肢運動障害 1.1% 77.8 22.2
9.レム睡眠行動障害 0.9% 94.5 5.5
10.反復性過眠症 0.8% 63.2 36.8
総数:3,205名、男性:1,712名、女性:1,493名
【表】


6) ストレス性不眠症の悪循環
 何らかのストレスで眠れないことは、誰にでもあります。ストレス解消がすんなり出来れば良いのですが、次第に「眠れなかったらどうしよう・・・。」という不安にかられてしまいます。そこで、医師に相談しながら適切な睡眠薬による治療が必要となります。しかし、日本の場合、睡眠薬に対する誤解が多くあるために「睡眠薬よりも寝酒が良い。」という風習が強く、「睡眠薬恐怖」に陥ることも稀ではありません。そうなると、「慢性の不眠症」となってしまいます。
 現在の睡眠薬は、医師の指示通りに内服しておけば極めて安全です。焦らず、担当医師とよく相談しながら治療を受けますと不眠症からも脱却できます。一方、寝酒は確かに入眠効果はあるのですが、睡眠の質を著しく悪化させ翌日の生活にも影響をおよぼします。また、不眠症からの脱却も極めて困難になってしまいますので、ご注意を!

(2003年2月16日に開催された、“市民のための医療フォーラム”で当日配布されたパンフレットの内容です。)


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Last updated on Fri, Aug 7, 2009